薬剤師とAIについて

薬剤師とAIに関する記事を書いていこうと思います。

薬剤師の仕事とは、様々な情報を元に薬物治療を行う上での問題点を抽出し、患者さんに安全な薬物治療を受けてもらえるようにすることであると思います。
実は膨大な情報から未来を推論するという仕事は、まさにAIが得意とする仕事だったりします。
昨今、AIに関する技術の進歩が顕著で、「いずれAIに仕事を取られてしまうのではないか?」なんて不安を感じる事もあると思います。
結論から言うと、薬剤師の仕事はAIに全て取られてしまう事はありません。なぜなら現在の法制度ではAIは薬剤師免許を取得できないからです。
しかし、薬剤師の業務においてAIに関する技術は大きな武器となります。
政府もAI戦略2019において、AI×専門分野のダブルメジャーの促進をうたっております。

https://www.maff.go.jp/j/kanbo/tizai/brand/attach/pdf/ai-15.pdf


2025年には、現代の読み書きそろばんにあたる「数理」、「データサイエンス」、「AI」の基礎を習得した人材が社会に出てくる予定です。
政府の目標にも医療従事者のリカレント教育が盛り込まれており、我々現場で働く薬剤師も、「数理」、「データサイエンス」、「AI」に関する知識と技術の取得が求められてくると思います。

そこで2025年目標に向けて、コロナの感染拡大により増えてしまった自宅で過ごす時間を使ってスキルを磨いてみました。
まず全体的な知識をつけるために3月に行われたJDLAのG検定にチャレンジし、2020#1のディープラーニングジェネラリストの認定をとりました。
この段階で、AIに関するイメージは、「なんだかよくわからんが、質問するとバリバリ答えてくれるけど、、、いつか人類裏切る?」から「設定した機能に、学習することで近似していく関数?」に変化しました。
その後、コロナの感染拡大にAIによる画像診断で挑むCOVID-NETのデータセットを使って画像診断を行うCNN(Convolutional Neural Network)を組んだりしながら実装力を磨き、9月のAI検定にチャレンジしてディープラーニング実装士A級を取得できました。
現在は、AI=情報の次元操作で機能を実現する技術?とか考えています。

☆修行で作ったCNNは、胸部レントゲン画像を入力すると、学習データに元々ついていた6つのラベル(問題無し、細菌感染、ウィルス感染、新型コロナ、SARS、肺炎球菌)に属する確率を返すように作ってみました。高次元の画像データを畳み込んだりプーリングしたり全結合層で処理したりで、6つの数値(最後の活性化関数はSoftmaxなので合計は1.0)になるように次元削減していると考える事もできるかな?。検証用データでの精度(Accuracy)は約84%で良い感じだったのですが、インフルエンザ患者のデータで新型コロナの偽陽性が出てしまうので残念な感じです。

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学習曲線


学習データの可視化を行ってみたら、新型コロナの特徴は肺の周辺にあると学習していました。

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フィルター可視化(左下が新型コロナ)


当時は「どういう事?」と意味が分かりませんでしたが、のちに新型コロナ患者のCT画像は肺の辺縁部に特徴が出るとの記事を見て驚愕しました。AI、恐ろしい子、、、、。

 

今思うと、スキルを磨くにあたり、「行列」、「微分」、「確率統計」の再学習が大きかったですね。
みなさん、高校生の時に「行列」とか社会に出て使うのか?とか思いませんでした?(笑)
確率統計もあまり力を入れてなかったので、薬物に関するデータを見ても漠然としか意味が捉えられない部分がありましたが、結果的に理解度が高まったかと。
確率統計って実は必須のスキルなのかな?とか思ってきました。
笑い話にある、「頭を冷蔵庫、足をオーブンにつっこんだ人がいる。彼の周囲の平均温度を考えると、彼は快適な環境にある!」みたいな理屈に騙されないようにしないといけませんね(笑)
数学ってどのように社会応用されているのかあまり実感できませんでしたが、今現在は誰もが持つべきスキルになってきたのかも((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

今後の展望ですが、AIの技術を導入した電子薬歴とか面白そうですね。患者さんの基礎情報、過去の薬歴、処方内容、検査値、等々から、副作用のリスクとか服用するに当たってのアドバイスの候補とかを提示したり、、、、。なんか薬剤師として考える部分が無くなってしまうような、、、?
作成・運用するにあたって必要な物は、利用しやすい医療ビックデータとか、ベクトル化した薬剤情報とか、、、日本政府、頑張って下さい!