口腔薬物治療セミナー

先日、Web学術講演会に参加しました。

今回は歯原性歯痛の中の歯髄や歯周組織が原因となる歯痛という項目と口腔疾患の治療に役立つ漢方薬の2つの項目での研修でした。

 

・歯科口腔領域のOTC医薬品

 歯痛→アセトアミノフェンまたはNSAIDS

 歯髄炎/知覚過敏→フェノール誘導体配合剤(新今治水正露丸

 歯肉炎→クロルヘキシジングルコン酸塩配合含嗽剤(歯周病原性細菌の増殖抑制の効  果大)

 口内炎→ジブカイン塩酸塩、トリアムシノロンアセトニド配合軟膏/貼付剤

 う蝕予防→フッ化ナトリウム配合含嗽剤

 

歯痛、歯髄炎、歯肉炎、口内炎に関して、1週間OTC医薬品を使用しても改善されないときは歯科受診を促すことが必要です。

 

歯科口腔領域のOTC医薬品では予防を覗いて対症療法としての適応はあるもののほとんどが使用後は受診が前提になるとのことです。

 

・口腔疾患の治療に役立つ漢方薬

 口腔外科は口唇、頬粘膜、上下歯槽、硬口蓋、舌前方2/3、口腔底、上下顎骨、耳下腺を除く唾液腺に生じる顎口腔に関連した疾患を治療対象としています。

 

三叉神経痛の症状に対する漢方薬での治療として、

五苓散:利水剤、血管による神経圧迫の緩和に適用

桂枝加朮附湯:利水剤、適応は関節痛、神経痛。冷えで痛みが増す患者に適用

漢方は第一選択薬のカルバマゼピン量を減量できる可能性があるようです。

 

舌痛症の症状に対する漢方薬の治療としては、患者さんの身体的自覚症として不眠の傾向があり、 精神的自覚症としては怒り、過敏、不安、不適応についての回答が多いようです。痛みと情動は密接に関連し、不快情動は疼痛閾値を低下させることで舌痛の誘発

抑肝散、加味逍遙散、半夏厚朴湯、柴朴湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、白虎加人参湯などを用いるとのこと   

 

口内炎に適応がある漢方薬としては黄連湯、半夏瀉心湯、茵蔯蒿湯。

その中でも半夏瀉心湯は微温湯に溶解して含みうがいする。

口内炎に使える桔梗湯は即効性があり、冷やして使用、含み飲みをする。

 

口腔がん支持療法と漢方薬としては

術後体力低下には補中益気湯十全大補湯、人参養栄湯

手術部位感染には治打撲一方(感染の誘因となる術後の腫脹、血腫の改善)、補中益気湯など

 

内容の濃いセミナーでした。

 

この講義において、先生がネットで見つけた口内炎の画像とされている一覧の中に、舌癌と思われる画像が混在しており、口内炎と舌癌の見極めは非常に難しいという先生の言葉に衝撃を受けました。

 

セミナー終了後、自分の口内を確認してしまいました。